fc2ブログ

「プラスチックを素早く分解する酵素」が機械学習モデルを利用して開発される

  • 2022/05/22(日) 08:02:59

プラスチックは一般的に石油を原料として作られた合成樹脂であり、水に強く腐食しにくいといった性質から工業製品や包装などさまざまな分野で利用されていますが、分解されにくいため環境への影響が問題となっています。そんなプラスチック廃棄物の問題を解決するため、テキサス大学オースティン校の研究チームは機械学習を使って、「本来なら分解に数世紀かかるプラスチックを数時間~数日で分解する酵素」を作り出しました。 Machine learning-aided engineering of hydrolases for PET depolymerization | Nature https://www.nature.com/articles/s41586-022-04599-z Plastic-eating Enzyme Could Eliminate Billions of Tons of Landfill Waste - UT News https://news.utexas.edu/2022/04/27/plastic-eating-enzyme-could-eliminate-billions-of-tons-of-landfill-waste/ YouTubeには、研究チームが開発した「プラスチックを素早く分解する酵素」について解説する動画が投稿されています。 Plastic-eating Enzyme Could Eliminate Billions of Tons of Landfill Waste - YouTube

ビデオプレーヤー: YouTube (プライバシー ポリシー, ご利用条件)
プラスチックは世界の廃棄物の約12%を占めており、埋め立て地や自然環境に廃棄された数十億トンものプラスチック廃棄物による土壌や海洋汚染は大きな問題です。
© GIGAZINE 提供
プラスチックは分解に数百年もの時間がかかるため、素早くプラスチックを分解する技術の開発は環境汚染を食い止める上で重要な課題となっています。
© GIGAZINE 提供
そこで、テキサス大学オースティン校の化学工学教授であるHal Alper氏らの研究チームは、プラスチックを素早く分解する酵素を人工的に作り出しました。
© GIGAZINE 提供
研究チームが開発した酵素は、プラスチックを構成するポリマー(重合体)をモノマー(単量体)に素早く分解し、リサイクルしやすい状態にするとのこと。
© GIGAZINE 提供
この酵素を使用すると、以下のようなプラスチックが……
© GIGAZINE 提供
わずか48時間でみるみるうちに分解されると研究チームは主張しています。
© GIGAZINE 提供
© GIGAZINE 提供
研究チームは新たな酵素を開発するにあたり、ポリエチレンテレフタラート(PET)を分解することで知られるPETaseという天然酵素の突然変異を機械学習モデルで生成し、どの変異がプラスチックを低温で素早く分解できるかを予測したとのこと。
© GIGAZINE 提供
機械学習モデルの予測に基づいて設計された新しい酵素は「FAST-PETase(functional, active, stable and tolerant PETase/機能的・活動的・安定的で耐性のあるPETase)」と名付けられ、研究チームは51種類のプラスチック容器や5種類の繊維、ペットボトルなどでFAST-PETaseの効果を実験しました。
© GIGAZINE 提供
その結果、FAST-PETaseはわずか数日でプラスチックを分解できることが実証されました。また、FAST-PETaseはプラスチックをリサイクルするさまざまな工業的プロセスと異なり、摂氏50度未満というかなり低温かつ少ないエネルギーで機能するとのことです。
© GIGAZINE 提供
研究チームは今後、さまざまな用途に向けて酵素生産のスケールアップに取り組む予定であり、技術の特許を出願しているとのこと。埋め立て地におけるプラスチック分解だけでなく、自然環境の中に捨てられたプラスチックの分解にも焦点を当て、研究チームはいくつかの方法を検討中としています。
© GIGAZINE 提供
機械学習モデルの開発を担当した分子生物学教授のAndrew Ellington氏は、「この研究は合成生物学・化学工学・人工知能など、異なる分野が融合することの力をはっきり示しています」とコメント。Alper教授は、「この最先端のリサイクルプロセスを活用できる可能性は、業界を問わず無限に存在します。廃棄物処理業界だけでなく、あらゆる分野の企業が自社製品のリサイクルを率先して行う機会を提供します。これらのより持続可能な酵素アプローチを通じて、真の循環型プラスチック経済を構想し始めることができるのです」と述べました。

2022/05/20 09:00 Microsoft Start

スポンサーサイト



自閉症原因は胎児期の造血系細胞の異常、神戸大学が解明

  • 2022/05/15(日) 18:10:37

神戸大学大学院の内匠透教授らの国際共同研究グループは、特発性自閉症の原因が胎児の時の造血系細胞のエピジェネティック(注)な異常であり、その結果が脳や腸に見られる免疫異常であることを明らかにした。

 免疫異常は、現在、さまざまな疾患の原因とされ、自閉症の発症にも重要な役割を果たしている。脳内炎症や末梢免疫系の障害は、自閉症患者に頻繁に観察される。さらに、免疫異常は腸内細菌叢の異常を併発し、脳と腸との連関(脳腸軸)により発症に関与するとされる。しかし、これらの免疫異常の背後にあるメカニズムは不明だった。

 自閉症発症における免疫障害の重要な発達段階と免疫系の広範な関与を考慮し、研究チームは共通の病因が広範な免疫調節不全の根底にあり、異なるタイプの前駆細胞にあると仮定した。免疫細胞のもとになる血球系細胞に注目、さらに、胎児の時の造血に関わる卵黄嚢(YS)と大動脈-生殖腺-中腎(AGM)に焦点をあてて解析を行った。

 研究グループは、自閉症モデル動物のBTBRマウスを用いてAGM血球系細胞を解析し、免疫異常の病因としてHDAC1(ヒストン脱アセチル化酵素1)を同定した。また、YS血球系細胞の解析により、ミクログリア(中枢神経系グリア細胞の一つで中枢の免疫を担当)発達異常の病因として同じくHDAC1を同定した。実際、胎児期にHDAC活性を調節(HDAC1阻害剤を投与)することにより、マウスの脳内炎症と免疫調節不全を改善した。さらに、腸内環境、特に免疫系の変化がマウスの腸内細菌叢の異常を生じることが分かった。

 今後、自閉症の病態分類が進むことで、自閉症をはじめとする神経発達症の新たな治療戦略の創出が期待されるとしている。

注:DNAの塩基配列が同じでも、DNAに化学物質が修飾することで遺伝子発現が異なる遺伝様式。

2022年5月10日

大学ジャーナルオンライン編集部

愛媛大GRCが透明ヒスイを合成 光学分野での応用に期待

  • 2021/10/14(木) 18:04:04

愛媛大地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)はこのほど、透明性が低い鉱物のヒスイを超高圧合成法により透明化したと発表した。共同研究グループを指揮した入舩徹男センター長(67)は「(透明ヒスイは)高硬度で耐摩耗性のある材料として発展する可能性がある。レンズやレーザーといった分野での応用が期待できる」と話している。


 ヒスイは日本鉱物科学会が2016年に選んだ日本の「国石」。美しい緑色だが、結晶構造や隙間の空気などの影響で光が散乱するため透光性は高くない
 GRCは、ヒスイの粒径を可視光の波長より小さくすることで透光性を高めようと挑戦。10~20万気圧の超高圧と900~1300度の高温を加え、粒径を200~300ナノメートル(ナノは10億分の1)にして、直径2ミリ程度の透明ヒスイを合成した。研究成果は同会が発行する英文誌で発表した


2021年10月13日(水)(愛媛新聞)


世界最高水準の人工光合成に成功 トヨタ系、植物上回る効率

  • 2021/04/22(木) 08:02:30

世界最高水準の人工光合成に成功 トヨタ系、植物上回る効率

2021年4月21日 19:37共同通信共同通信社

 トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県長久手市)は21日、太陽光を使って水と二酸化炭素(CO2)から有機物のギ酸を生成する「人工光合成」の効率を世界最高水準まで高めることに成功したと発表した。過程でCO2を材料とするため脱炭素化につながるほか、生成したギ酸から水素を取り出し燃料電池の燃料に使うこともできる。早期実用化を目指す。

 豊田中央研究所は2011年に、水とCO2のみを原料とした人工光合成に世界で初成功。当初は太陽光エネルギーを有機物に変換できる割合が0.04%だったが、改良を重ね7.2%まで向上させた。植物の光合成の効率を上回るという。

アミノ酸にウイルス増殖抑制効果

  • 2021/01/04(月) 17:50:36

アミノ酸にウイルス増殖抑制効果、臨床研究へ 袋井の製薬工場製造、長崎大が効果確認【新型コロナ】

(2020/11/24 19:30)静岡新聞

5―ALAを製造している工場=11月上旬、袋井市内
5―ALAを製造している工場=11月上旬、袋井市内
新型コロナウイルス増殖の抑制効果が確認された5―ALA
新型コロナウイルス増殖の抑制効果が確認された5―ALA
 製薬会社ネオファーマジャパンの袋井工場(袋井市久能)で製造しているアミノ酸「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」に、新型コロナウイルス増殖の抑制効果があることが24日までに、先進的な感染症研究で知られる長崎大(長崎市)の基礎研究で確認された。新型コロナの新たな治療法確立につながることが期待されるとし、同大が臨床研究に乗り出した。袋井の技術がコロナ対策に一役買う可能性が出てきた。
 5-ALAは、動植物の体内で作り出されていて、生命活動を維持する上で重要な役割を担っている。同社によると、袋井工場は世界で唯一5-ALAの大量生産が可能な施設で、医薬品やサプリメント、化粧品の原料などとして利用が進む。
 創薬研究に取り組む同大大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科長の北潔教授は、5-ALAを使ったマラリアの治療薬開発を進めている。研究過程でさまざまな感染症への治療効果が期待できると判明し、新型コロナへの効果研究にも着手した。
 第1段階の細胞試験では、一定濃度以上の5-ALAを加えると感染を完全に抑えることが判明。臨床研究は軽症・中等症の患者に投与して症状の改善やPCR検査で検出されるウイルス量などを検証する。一定の効果を確認した段階で治験に進み、国の認可取得を目指す。
 北教授は同社が5-ALAを健康食品などの原料として大量生産していることに注目。「安全性が既に確保されている上に安定した大量供給が可能。(治療薬として認められれば)社会・経済にも多大な効果が期待できる」と強調する。
 同社は5ーALAに関する知識や技術を生かし、今回の研究をサポートする。宇野哲二工場長は「袋井から、コロナ患者を救う可能性を秘めた治療法が発信できるかもしれない。誇らしく思う」と話した。
 <メモ>5-アミノレブリン酸(5-ALA) 日本酒や納豆などの発酵食品に多く含まれているアミノ酸。ミトコンドリアが、活動に必要なエネルギーを作り出すために不可欠な物質で、36億年前の地球上の生命誕生にも関わっていたと考えられることから“生命の根源物質”とも呼ばれる。長崎大は国内外でも有数の感染症研究拠点として評価されていて、5-ALAを活用し、マラリアの治療薬開発や、ミトコンドリア糖尿病の臨床研究などにも取り組んでいる。

新しい肺がん治療

  • 2019/01/27(日) 12:57:22


岡山大学病院が世界で初めて行った肺がんの治療で
手術後5年間の生存率が80%というデータがまとまりました。

新たな治療の選択肢としてさらなる広がりを見せそうです。

2010年、岡山大学病院の大藤剛宏教授は肺を全て摘出するしかなかった男性患者に
当時、世界初だった別の治療を施しました。

一旦、肺を取り出し患部を取り除いた後、再び体内に戻すという方法です。

取り出した肺を戻すには高い技術が必要で生体と脳死合わせて
190例近くの肺移植手術で培った高い技術があったからこそできた治療でした。

この治療では肺移植と同じ様に取り出した肺に特殊な処置を施し
冷却保存することで良い状態を8時間、保つことができます。

大藤教授はこれまでに実施した9例について生存率は3年までが100%、
5年では80%というデータをまとめ論文として雑誌やインターネットで公表。

高い技術に裏打ちされた新たな治療法は「大藤法」という名前で注目を集めています。

大藤教授は移植経験がない医師にもこの治療法を積極的に広めたい考えで
肺がんに苦しむ患者にとって新たな選択肢として広がりをみせそうです。


2019年1月27日 11:41岡山放送

iPS移植で血糖値低下…東大などサル実験成功

  • 2017/03/07(火) 20:58:19

糖尿病治療のため、iPS細胞から作った膵島すいとうをサルに移植し、血糖値を下げることに成功したとする研究成果を東京大学などがまとめた。

 5年後に患者に移植する臨床研究を始めることを目指しており、7日から仙台市で始まる日本再生医療学会で発表する。

 膵島は、膵臓にある細胞の集まりで、血糖値を下げるインスリンを分泌する。宮島篤・東大教授(分子細胞生物学)らは、人のiPS細胞で作った膵島数万個を極細のチューブに封入し、糖尿病の小型サル「マーモセット」3匹の腹部に移植。数日後に血糖値が正常値に下がり、20日後まで持続したことを確認した。

 糖尿病治療では、脳死した人からの膵島移植が行われているが、提供者が不足している。iPS細胞を使えば、人工の膵島を大量に作れる可能性がある。

2017年03月07日 07時15分 読売新聞

ES細胞 ミニ小腸作製に成功 移植に期待

  • 2017/01/13(金) 12:12:27

 ヒトのES細胞(胚性幹細胞)から、機能を備えた「ミニ小腸」を作り出すことに成功したと、国立成育医療研究センター研究所の阿久津英憲・生殖医療研究部長らが12日、米医学誌「JCIインサイト」に発表した。
腸の難病の治療法や創薬開発につながり、将来的には移植医療への応用も期待される。

腸は臓器の中でも構造や機能が複雑で、さまざまな細胞に成長できるES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)から人工的に作り出すのは難しく、これまでに作製が報告されているのは表面部分だけだった。

チームは約5000個のES細胞が1カ所に集まるように設計した特殊な皿を使って培養したところ、
ES細胞の集合体は約2カ月で大きさが1センチほどの立体的な小腸に成長した。
腸が食べ物を送り出す際に伸びたり縮んだりする「ぜん動運動」がみられたほか、
栄養分や薬の成分を吸収する能力なども備わっていた。

 チームはiPS細胞からも同様の小腸作製に成功している。

 先天性や炎症性の腸の病気には、発症の仕組みすら分かっていないものも多い。
また、小腸は移植が行われているが、他の臓器に比べ成功率は低い。

 チームは「診断・治療法の開発、薬の安全性試験はミニ小腸を使ってすぐにでもできる。
将来的には、ミニ小腸を患者の小腸に移植し、働きを代替させるような臨床応用も考えられる」としている。【藤野基文】

毎日新聞 1/12(木) 23:00配信

竹や木で新素材

  • 2017/01/08(日) 09:16:48

竹や木を原料にした、軽くて丈夫な新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の生産を、製紙会社が本格化させている。とくに竹は放置された竹林による被害が深刻化しており、対策に悩む自治体も新たな活用法に期待を寄せる。

 植物の繊維を非常に細かくほぐして作るCNFは、1本が髪の毛の1万分の1ほどと極めて細い。
鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度がある。ほとんどの植物から作れるが、中でも竹は他の樹木から作るCNFと比べて、プラスチックなどの樹脂になじみやすい特徴がある。

 中越パルプ工業(本社・東京)は竹からCNFを作る技術を九州大学と共同で確立。
今年6月から川内工場(鹿児島県薩摩川内市)で竹などを原料にCNFの商業生産を始める。生産量は年間計100トンの予定。

竹林面積が全国一の鹿児島県。薩摩川内市でも所有者の高齢化などで放置竹林が課題だ。
地元要望を受けて1998年から農家らから竹を買い取っており、
これまで竹紙を作ってきたが、より有効に使えないかと竹CNFの研究に取り組んだ。
市の担当者も「CNFで竹の需要が増えれば放置竹林が減るのではないか」と期待する。


朝日新聞 2017年1月6日09時48分

isc細胞

  • 2017/01/06(金) 08:20:55

昨日神戸新聞の記事を載せましたが、今朝モーニングショーで約10分ほど特集されてました。
isc細胞の研究が進めば助かる人が増えます。
兵庫医科大学ファイト
本当にips細胞と共に、予算つけてあげて欲しいです。

脳梗塞で死んだ細胞再生

  • 2017/01/05(木) 13:55:01

兵庫医科大(兵庫県西宮市)のhttp://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=load&eno=3058#グループが、脳梗塞の組織の中に神経細胞を作る細胞があることを発見し、それを採取、培養して移植することで、脳梗塞で死んでしまった脳細胞を再生させる研究を始めた。
死んだ神経細胞は再生しないという定説を覆す発見で、グループは「今後2年余りで、臨床試験の前段階まで持っていきたい」と話す。(武藤邦生)

 脳梗塞は脳の血管が詰まり、脳の神経細胞が死んでしまう病気で、後遺症が出ることも多い。
その組織の中に神経細胞を作る細胞があることを、同大先端医学研究所の松山知弘教授、中込隆之准教授らが2009年、マウスの実験で発見。
15年には、血管の周囲の細胞が脳の一大事を受け、神経細胞などに変化できる「多能性」を獲得していることが分かった。

 体のさまざまな細胞を作れる多能性幹細胞といえばiPS細胞が有名で、それに比べると発見された細胞は多能性が低いと考えられるが、体内で自然に生まれる。
グループは重症の脳梗塞を起こしたヒトの脳でも存在を確認し、「iSC細胞(虚血誘導性多能性幹細胞)」と名付けた。

 この細胞の移植によって脳の再生も期待できることから、既に培養したマウスのiSC細胞をマウスの脳に移植し、ある程度、正常に機能している状態を確認。
さらに昨年11月、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて始めた研究では、ヒトのiSC細胞をマウスに移植した場合の効果を確かめる。

 マウスで効果があれば、ヒトへの応用の可能性も開けるといい、「iSC細胞はもともと体内で作られるもので、移植しても、がんなどの危険性は低い」と中込准教授。研究責任者で、脳神経外科の高木俊範助教は「脳梗塞の脳には再生させようとする働きがある。そのメカニズムを生かした治療につなげたい」と話す。

2017/1/5 06:20  神戸新聞

ミトコンドリアで卵子「若返り」…不妊治療へ

  • 2015/12/14(月) 11:33:40

日本産科婦人科学会は12日、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内の小器官を、女性の卵巣組織から取り出し本人の卵子に入れる新たな不妊治療を実施したいと、国内の不妊治療クリニック1施設から申請があったことを明らかにした。

申請したのは大阪市内のクリニック。ミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場と呼ばれ、注入された卵子の「若返り」を図って受精率や妊娠率の改善を目指すのが目的だ。同学会は理事会を開き、臨床研究として行うことを認めた。

同学会によると、この治療は腹腔ふくくう鏡手術により卵巣組織の一部を取り出し、ミトコンドリアを抽出。体外受精をする際に卵子に精子とともに入れると、卵子が活性化するとされる。

海外では200例以上行われ、20例以上の出産が報告されているという。

2015年12月14日 07時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

紅茶が歯周病菌と口臭抑制…キリンの研究所実証

  • 2015/08/30(日) 12:20:46

キリンの「飲料技術研究所」(横浜市)は、紅茶が歯周病菌と口臭を抑制する効果があることを実証したと、日本口臭学会などで発表した。
 同研究所は北海道医療大の鎌口有秀准教授と共同で、紅茶に含まれるポリフェノールが、歯周病菌の活動や口臭成分の濃度に与える影響を調べた。

 飲用の10分の1の濃度に薄めた紅茶を加えた培地で、歯周病菌を6日間培養し、菌の濃度の変化を測定した。すると、抗菌作用を持つポリフェノールとして知られる緑茶カテキンと同程度に、歯周病菌の増殖が抑えられたという。

 歯周病菌が作り出す、歯茎を溶かすたんぱく質分解酵素への影響も調べた。歯周病菌液に飲用の100分の1の濃度の紅茶を加えたところ、最大で8割強、酵素の活動が抑制されたとしている。

2015年08月30日 10時48分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

さい帯血からの幹細胞で新生児を治療…国内初

  • 2015/05/13(水) 08:51:30

倉敷中央病院(岡山県倉敷市)は11日、脳性まひの原因となる「新生児低酸素性虚血性脳症」の赤ちゃんに、自らのへその緒のさい帯血から採取した幹細胞を投与する治療を始めたと発表した。

 新生児への再生医療は国内初という。

 同病院によると、赤ちゃんは岡山県内の20歳代女性の長男。胎盤の早期剥離のため仮死状態となり、4月28日に帝王切開で誕生。脳の神経細胞にダメージを受けたおそれがあることから、頭部を冷やす低体温療法と並行し、同29日にさい帯血から採取した幹細胞を点滴投与した。

 さい帯血には神経細胞のもとになる幹細胞が多く含まれており、損傷を受けた脳組織の再生が期待される。

 今月3日に自発呼吸が確認され、呼吸器を外した。感染症もなく、母親が授乳しており、早ければ週内に退院できるという。

2015年05月12日 09時30分  読売新聞

骨再生の「種」開発 東洋紡と東北大、6月から臨床試験

  • 2015/04/15(水) 19:11:53

繊維大手の東洋紡が東北大と共同で、骨を再生させるスポンジ状の「骨の種」を開発した。骨が欠けたり、やせたりしたところに埋め込むと、周りの細胞が入り込んで骨を再生させる仕組みだ。6月から歯を支える骨の再生に実際に使う臨床試験で安全性などを確かめ、2018年度の製品化をめざす。

 骨の種は、骨の成分となるカルシウムの一種と、コラーゲンを混ぜたもので、体内で分解・吸収されるのが特徴。東洋紡がつくっている神経の再生をうながすチューブと同じコラーゲンを使った。動物実験では、約半年で骨に置き換わったという。

 臨床試験では、歯のインプラント治療などで、歯を支える骨が再生できるかを試す。これまでは、腰の骨の一部などを移植するのが一般的だったが、何度も手術しなければならず、患者の負担が重かった。

 開発に携わった東北大大学院の鎌倉慎治教授(歯学)は「患者の負担が大幅に減り、入院期間も短くなるだろう」と話す。東洋紡の担当者は将来、整形外科や脳外科でも応用できるとみている。(笠井哲也)

朝日新聞  2015年4月15日09時39分